歯科医師の収入をシンプルに理解する3つの数値(下)

歯科医院の収支ってわかりにくいですよね。
3つの数値をちょっと計算するだけで経営の大勢がつかめます。

 

こんにちは、株式会社120パーセント代表、
小さな歯科医院、クリニックの集患コンサルタント、
歯科医師の 近  義武 です。

 

歯科医師でも勤務医の間は
サラリーパーソント収益構造は同じです。

 

たとえ歩合制であっても必要経費に関係なく
給与が発生していましたよね。

 

しかし開業して院長になったなら
売上から様々な経費の支払いをした残りが
あなたの収入という形態ですから、
売上が多くても経費がさらに多ければ
収入はゼロどころかマイナスになることもあります。

 

ですから、歯科治療に関する最新の知識も、
それを具現化する診療機器も
年収に余裕がなければ手に入れることはできません。

 

歯科医院の経営はあなたの診療の質にも
大きく関与しているのです。

 

はっきりいえば、「貧すれば鈍する」です。
あなたの収入があなたの歯科医師としての『腕』を
左右していることを認識してください。

 

さて、「院長の収入」をチェックするなら
見て欲しい数値を2つ紹介してきました。

『従業員1人あたりの粗利』
『粗利に対する人件費の割合』

歯科医師の収入をシンプルに理解する3つの数値(上)

 

今回はその続きです。

 

歯科医師の収入をシンプルに理解する3つの数値その3

『損益分岐点売上高』

前回も示したこの図を見てください。
これは売上がどういう内訳になっているかを示した図です。

 

 

損益分岐点という言葉を
あなたもどこかで聞いたことがありますよね。
損失も利益もない、プラスマイナスゼロの点のことです。

 

ここで、この図を見ながら頭の体操をしてみましょう。
「売上」を少なくしていくと
この図はどうなって行くかを考えてみます。

 

「売上」を少なくしていくと、
つぶれるように高さがどんどん縮んできます。
頭の中で一緒にイメージしてみてください。

 

売上が少なくなるということは
診療する機会も減っているということです。

 

患者を診療した際に発生する経費である「変動費」も
売上とともに縮んでいきます。

 

「売上」が縮んでも『変動費率』に
大きな変動はないものです。

 

ですので、変動費はそのまま

「変動費」=「売上」×「変動費率」

とこのように表せますから、
「変動費」は売上に応じて小さくはなります。

 

これに対して「固定費」は
「売上」が縮んでいってもその金額は変わりません。

 

人件費やテナント賃貸料などは
売上がなくとも(つまり患者が来なくても)
一定額で支出されて行きますよね。
だから「固定費」という名前がつくわけです。

 

では「利益」はどうなっていくでしょう?

「利益」=「売上」−(「変動費」+「固定費」)

となっていますから、
「売上」が縮めば「利益」も縮みます。

 

例えば、ある歯科医院で「売上」が1000減ったとします。
この歯科医院の「変動費率」が20%だとすると

 1000×0.2=200

 

「変動費」も「売上」減に応じて200減ります。

 

一方「固定費」はそのまま変わらないわけですから、
残り800の減りは「利益」が減ることになります。

 

ここまで理解できたら、
あとは図の変化をイメージしながら
「売上」をさらに小さく減らしていきます。

 

どんどん「売上」を小さくしていきましょう。
そうすると、ある時点で「利益」がなくなります。

 

この時、「粗利」と「固定費」が同額になります。
「変動費」は売上がまだあるので残っています。

 

 

こんな感じですね。
この状態が「損益分岐点」です。

 

そしてこの時の売上を
『損益分岐点売上高』と呼び、
計算で簡単に求められます。

『損益分岐点売上高』=『固定費』÷『粗利率』

 

このときには、歯科医院が維持されているだけで
スタッフには給与があってもあなたには収入がありません。

 

歯科医院の収入がそっくりそのまま
経費で使われている状況です。

 

逆の言い方をすれば、
他からあなた生活費などが補填されるなら
『損益分岐点売上高』さえ売上を上げれば
利益も損失もない「トントン」ということ。

 

では、あなたの歯科医院の『粗利率』が
80%(つまり変動費率が20%)だったとして
あなたが2,000万円の年収を欲しいと思ったら
いくらの年間売上が必要かを計算してみましょう。

「2,000万円」÷「80%」=「2,500万円」

 

つまり、あなたが2,000万円の利益を得るには
1年間で「損益分岐点売上高+2,500万円」を
売上げる必要があるということになるのです。
(年間固定費は確定申告書などから算出してください)

 

他にも例えば、『粗利率』80%で
新たにスタッフを1人増員するとします。

 

人件費が年間400万円の追加になるとすると…

「400万円」÷「80%」=「500万円」

 

これまでよりも500万円売上を上積みしないと
これまで通りの財務状況を維持できないことになります。

 

同様に、1,000万円でCTを導入するとすれば
金利や諸経費を別に、1,250万円を数年にわたって
追加で売り上げる必要があるということがわかります。

 

あなたの利益も人件費も「増やそう」とするなら
その分だけ「必要な粗利」が増えます。

 

『粗利率』と『損益分岐点売上高』さえわかっていれば
「必要な売上」がすぐにわかるのです。

 

あなたの歯科医院に「投資」をすること自体は
歯科医院が成長していく上で不可欠なことです。

 

これからはその投資を「回収」する目安として
『損益分岐点売上高』と『粗利率』の考え方を
取り入れて導入の際に役立ててください。

 

歯科医師の収入をシンプルに理解する3つの数値

『まとめ』

 

『従業員1人あたりの粗利』
『粗利に対する人件費の割合』
『損益分岐点売上高』

 

これらに共通して使われるのが「粗利」です。
まだ耳慣れない言葉だと思います。

 

ほとんどの歯科医院の院長が税理士等に
確定申告に伴う税務を任せているはずです。

 

税理士は「粗利」のことを知識としては知っています。
しかし粗利に関する話をあなたにしてきません。
なぜでしょうか。それは…

・相手が「経営」そのものに興味がない
・意義を理解しようとしない
・税理士にもその先の戦略がない

ようするに、話すだけ無駄だと思っているのです。

 

『粗利』で歯科医師の収入を理解する

「粗利」を考える際に最も重要な概念は
経費を変動費と固定費に分けることです。

 

変動費は売上が増えればそれに連動して
一定の割合で増えていくものです。
売上がゼロなら変動費もゼロになります。

 

変動費は物品販売でいえば
「商品の仕入れ値」にあたるものです。
これが小さいほどビジネスとして有利なことは
直感的に理解してもらえると思います。

 

では歯科医院経営においてはどうでしょう。
変動費・変動費率を小さくすることは
実現可能なことなのでしょうか。

 

保険診療ではそれぞれの治療に対する
医療収入(売上)が決まっています。

 

変動比率を下げるには
変動費そのものを下げるか、
変動費の高い治療を少なくすることになります。

 

自費診療では保険診療の場合の手法に加えて
医療収入(診療料金)そのものを
あなたが値決め(値上げ)することができます。

 

値上げすれば
変動費の金額を変えずとも粗利が増えますから、
相対的に変動費率は小さくなります。

 

このようなことを実施すれば
あなたの歯科医院でも
変動比率を下げることができます。

 

変動費・変動費率を下げれば
粗利・粗利率が上がります。

 

粗利率が高くなれば

『従業員1人あたりの粗利』が上がります。
『粗利に対する人件費の割合』が下がります。
『損益分岐点売上高』が下がります。

 

さらに

『あなたの利益が増える』
『投資の余裕ができる』
『赤字になりにくくなる』
『働きが儲けに効率よく転換される』

など、多くのメリットがあります。

 

歯科医院経営は難しいといわれますが
粗利に関する3つの数値を改善していくことで
「無駄の少ない」強い財務体質を
実現することが可能なのです。

 

そのためには
変動費を圧縮して「変動比率」を下げ、
付加価値を高めて粗利を増やし
「粗利率」を上げることです。

 

「うちの歯科医院にはそれはできないよ」
と頭から否定せずに

では何ができない原因をなっているのか、
その原因を除去するにはどうすればいいのか、
その先にも障害があるならそこでまた検討してみる…

 

という思考回路を持つと
可能性は大きく広がることでしょう。

…………………………………………………………………………

考えてみましょう

さて、それでは恒例のシンキングタイムです。

 

財務体質の改善を図るなら
いろいろな施策が考えられます。

 

「変動比率の低くてなおかつ
それなりに高額な自費診療のメニューを増やしたり
そういう治療を受けてくれる患者増に力を入れる」

 

というのはかなり有効ということは
今回の話をしっかり読んだあなたには
よく理解できることでしょう。

 

「変動比率の低くてそれなりに高額な自費診療」は
これだけでも相当強力ですが、
加わるともっと有利になる条件があります。

それはどんな条件でしょうか。

 

 

せっかくここまで読んだあなたなら
ぜひとも、考えてみてください!
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(ここは考える時間です)
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それでは答えです。

 

 

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