歯科医院を居抜きで売却する・購入する際の注意点

今回の話は歯科医院の「居抜き譲渡」に関することです。
50代も後半に差し掛かってくる院長は
少なからず意識されていることかもしれません。

 

また、開業を考えている勤務医の歯科医師にとっては
考えるべき選択肢の1つということになります。

 

こんにちは、株式会社120パーセント代表、
小さな歯科医院、クリニックの集患コンサルタント、
歯科医師の 近  義武 です。

 

先日お彼岸の墓参りにいってきました。
“近”家の墓所の四隅には植木をしてあるのですが、
それがものすごく成長していました。

 

春のお彼岸の時に手入れしたのですが
想定を遥かに越えて繁っていました。

 

隣家の領空は侵しているは、
墓石にかかってしまっているは、
さらに蜘蛛の巣まで張りまくり・・・

 

参拝者総出でにわか庭師になって剪定というか
バシバシ枝を切り落としました。

 

その後、無事にお参りが済んでからの食事の席。
やっぱりその植え込みの話になりました。

 

「アレはさすがにまずい」
「どうにかならないのか」
「管理はどうなってる?」
 ・・・・・

 

実はウチの墓所がある霊園は交通の便が余り良くないところにあります。
そう頻繁に行ける人間もおりません。

 

結局、管理費を多少上乗せしても
そういう管理まで含んだコースに変更することになりました。

 

それはそれで良いのですが、ついでのように母親から
「これからはそういう管理も含めてあなたがやりなさい」
と言われました。

 

確かに私は長男ですし、イイ歳ですから
そういうこともあるのでしょう。

 

たまたまですが、あるクライアントに
事業継承の相談を受けている時期に言われたので、
タイミングが良すぎて苦笑いしてしまいました。
不思議と符合するものなのですね…

 

さて、事業継承、特に親子継承については
以前に詳細を記事に書きましたが、
今回は第三者への『居抜き譲渡』についてです。

歯科医院の親子継承はなぜ揉める?噴出する問題あれこれ(前)
歯科医院の親子継承はなぜ揉める?噴出する問題あれこれ(後)

 

事業継承のうち『居抜き譲渡』には大抵は金銭授受が伴います。
故にどうしても値段交渉がメインになりがちです。

 

しかし譲渡する側・される側それぞれに注意すべき共通点があります。
その前提条件ともいうべき事柄もあります。
ポイントを挙げていきましょう。

 

前提

1、賃貸物件ではオーナーの合意が必要

 

オーナーが

  • 現契約者の歯科医師との賃貸借契約解約に合意
  • 新契約者の歯科医師との新賃貸借契約締結に合意
  • 内装設備等を現状のまま使用することに合意

 

2、リース物件の引き継ぎにはリース会社との合意が必要

 

リース会社が

  • 現在の契約者歯科医師と中途契約解除に応じる
  • 新契約者歯科医師と再リース契約に応じる
  • もしくは、リース会社がリース物件の所有権を放棄する

 

3、その他の権利関係が契約上クリアになっている

 

  • 賃貸借物件では転貸は原則禁止
  • 退去時には賃貸借契約時の状態への復帰が原則

 

 

このように歯科医師同士がどんな条件で合意しようとも
関係者の合意がなければまったくの無意味です。

 

譲渡する側のポイント

1、嘘をつかない

 

有利に交渉を進めるためにウソの情報を渡すことは絶対にしてはいけません。
譲渡後に明るみに出れば、詐欺として訴えられ、
損害賠償金・慰謝料の請求をされる犯罪行為です。

 

2、廃院前に譲渡の段取りをする

 

設備に対してはほとんど金銭的価値が評価されません。
評価は現在の患者数、来院頻度、患者単価などです。
廃院した時点で患者数はゼロとなり医院の価値が大幅に下落します。

 

3、機器・設備の瑕疵担保責任は譲渡日までが原則

 

中古の機器・設備の譲渡ですから、
いつ自然故障が発生しても不思議ではありません。
物件の引き渡し時で責任の所在を切り替えるのが原則です。

 

4、診療に対する責任は遡及手続きと対で考える

 

遡及手続きを行なうことによって
通常2週間から1ヶ月間の保険診療不可期間がキャンセルされ
初月から保険請求が可能になります。

 

元々は先代「親」歯科医師の急逝に対する救済制度です。
「子」歯科医師がそれまでの患者を診療結果も含めて
全てを継承することを想定しています。

 

治療中の患者は全て『再診』で引き継がれることになります。
当然、『補綴管理料』などいわゆる『しばり』も引き継がれます。

 

「居抜き譲渡」では第三者と売買するので
責任の所在という点でかなり微妙なものを含んでいます。
譲渡する側には遡及制度を使わない継承をオススメします。

 

譲渡される側のポイント

1、廃業・譲渡の理由のチェック

 

理由がはっきりしない、納得できない、
そういう場合は話を断った方が無難です。

 

また、要求した資料が正当な理由がないまま
提出されないなども断るに十分な理由です。

 

3、患者とのトラブル・評判

 

現在、患者とのトラブルを抱えていたり、
評判が余りにも良くなかったりする医院はやはりオススメしません。

 

ただし、そんな評判が譲渡される側に耳に入りづらい場合もあります。
その点は「居抜き譲渡のリスク」といえます。

 

マイナスイメージからの脱却にはそれなりのコストと時間がかかります。
刷新されたことが患者に一目で見てわかるように
目につく部分の大胆な改装が必要になる場合もあります。

 

3、資金の準備

 

売買代金を含めて開設のための資金を
全て自己資金で用意できる人は限られています。
必然的に借入金を起こす形になります。

 

ただし、金融機関は前述したような関係各位の権利が
契約という形で確定していないと話が進みません。

 

ですから、契約書には
「金融機関の融資が失敗の場合は契約を取り消す」
という内容の条件を入れる場合が一般的です。

 

要するに、歯科医師同士の折り合いがついても
銀行がお金貸してくれなければご破算ということです。

 

また、融資は金融機関の稟議で決定になるのですが、
その前にある程度の事前交渉は行っておくべきです。
銀行に事前のコンタクトは必須です。

 

自己資金は投下資金の3〜4割を準備することが望ましいでしょう。
自己資金率が高い程、稟議は通りやすくなります。

 

4、診療に対する責任は遡及手続きと対で考える

 

遡及手続きをすれば初月から保険請求が可能です。
しかし、初診を起こす制限もされますし「しばり」もあります。

 

“近”は遡及制度の利用はオススメしません。
最短なら2週間程、保険請求不可な状況を乗り切れば
あなたの思い通りの診療と請求ができるからです。
譲渡の日程については十分に検討して下さい。

 

 

 

いかがでしょうか?
居抜き譲渡は良い物件・良いドクターに巡り会えれば双方ともにメリットがあります。
ただしリスクもあることは頭から消してはいけません。

 

その上で譲渡する側もされる側も互いに歩み寄れば、
共に幸福になれる良い結果が得られるはずです。

 

現在、現役で院長先生をされているあなたには
ピンと来なかった話かも知れません。
それでも引退は必ずやってきます。

 

行く末は「廃院」「売却」「委譲」しかありません。
今回は売却のスポットを当てて話してみました。

 

少子化、歯科大学の偏差値や倍率、
国家試験の合格率などを考え合わせれば
「売却」「委譲」をしたくてもできずに
「廃院」となる歯科医院は徐々に増えていくでしょう。

 

あなたが引退時に歯科医院の売却を検討しているなら
「捕らぬ狸の皮算用」にならないためにも
今からの十分な検討とシュミレーションを
早すぎると思わずに行なって下さい。

…………………………………………………………………………

考えてみましょう

さて、それでは恒例のシンキングタイムです。

 

居抜き物件に対して、
法人が申し込んでくることがずいぶん増えたようです。

 

分院として、あるいは訪問診療の拠点として
使うつもりが大半でしょう。

 

しかし、それとは別の「ある使い方」をするために
居抜きで歯科医院を手に入れている法人が結構いるのです。
さて、それはどんな目的でしょうか?

 

 

せっかくここまで読んだあなたなら
ぜひとも、考えてみてください!
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(ここは考える時間です)
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それでは答えです。

 

 

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