残業廃止・時短

歯科医院の「診療時間短縮・残業禁止日」メリット・デメリット(前編)

Last Updated on 2020.6.8 by 近 義武

「働き方改革」の圧力もあって、一般の企業の間には
『残業禁止日』を取り入れるところが増えてきています。

 

歯科医院にはあまり馴染まなかったようですが、
今回のコロナウィルス感染拡大で仕方なく、
「診療時間短縮や残業禁止日」を実施した医院が増えました。

 

緊急事態宣言は解除されましたが、
今後第二波、第三波はあると想定しておかなくてはなりません。
仕方なく実施した「診療時間短縮・残業禁止日」だったでしょうが
今後はどうしたら良いのでしょうか。

 

こんにちは、株式会社120パーセント代表、
集患、自費率向上、予防歯科の確立をブランディングで実現する、
ブランド歯科医院構築・経営コンサルタント、
歯科医師の 近  義武 です。

 

実際に「診療時間短縮・残業禁止日」を実施した導入した歯科医院でも
うまくいっているかどうかは二極化しています。

 

働く時間が短くなって満足している従業員もいれば、
その一方で不満を抱えている人もたくさんいます。

 

単に導入しているところが増えているらしいとか、
うまく行った医院の話をいくつか聞いたとかの
表面的な理由であなたの歯科医院の方針を決めるのは
稚拙としかいえません。

 

診療時間短縮・残業禁止日』にはどのような効果があり、
どのようなメリットやデメリットがあるのでしょうか?

 

今回は『診療時間短縮・残業禁止日』の本質を探るべく
効果やメリット、デメリットなどを一緒に考察してみましょう。

診療時間短縮・残業禁止日のメリット1
 〜経費節減〜

1、人件費が削減される

残業時間・勤務時間が減り、人件費を削減できます。
歯科医院ではスタッフが同時に複数人いるのが普通です。
その日の勤務スタッフ全員の残業代がカットできるというのは
経費として大きな割合を占める「人件費」の削減になります。

2、ガス・水道・光熱費が削減される

電気代や空調代などが節減できます。
コンプレッサーを切り、エアコンを切って機械室その他の電源を
完全に落とすまで、ランニングコストが常に掛っています。

 

診療時間短縮・残業禁止によってこれらの経費がカットされます。
歯科医院側の大きなメリットの1つです。

診療時間短縮・残業禁止日のメリット2
 〜スタッフの意識改革〜

 

診療時間短縮日・残業禁止日があればスタッフ自身、
「残業なしで仕事を終えるためには、早く切り上げるには、
いかなる行動・仕事の仕方をすればいいか」を考えるようになります。

 

自らが仕事の仕方・取り組み方の工夫をする
という意識が自然に芽生えます。

 

週に1回でも「残業禁止日」を導入することで、
「定時までに終わらせる」という
スタッフ各人の意識を高めることにつながります。

 

診療時間短縮日があれば、短い診療時間内でどう働くか、
仕事の手際や効率的な行動の順番などを
考えたり試してみたりするきっかけになります。

 

メリハリをつけた働き方を浸透させることができ、
業務の効率化や所用時間の短縮などの効果があります。

 

また、従業員の意識を高めることにより、
密度の濃い業務をこなすことに抵抗がなくなります。

 

残業をしない日、診療時間が短い日を設けることで
「終業間際に急患がきたらどうしよう」
「電話がきたら・尋ねられたら何と答えよう」
「忙しい時に来院した予約外の患者さんにどう対応しよう」
などのようなことをスタッフ全員が考えるようになります。

 

あらゆる場面で意識の向上が促されるのです。
中には抜本的に仕事のあり方を考えるスタッフが
出てきてくれるかもしれません。

 

そうなってくれれば雇用側としては図らずも、
費用対効果の高い人材を作ることが出来てしまうわけです。

 

また、「確実に早く帰れる日がある」ことで
仕事に対する『やる気』がでて一生懸命働くという
間接的効果がでることもあります。

診療時間短縮・残業禁止日のメリット3
 〜プライベートの充実、スキルアップ〜

 

診療時間短縮・残業禁止日には半ば強制的にとはいえ
早く帰ることが出来ます。

 

そうなれば、いつもとは違った
『自分が自由に使える時間』が確保されることになります。

 

突然降ってわいたように出来たしまった暇な時間は
「何をしたらいいか」と考えあぐねてしまうこともあります。

 

しかし、定期的に、しかも確実に生じる
『自分が自由に使える時間』であれば、
使い道を前もって考えることが出来ます。

 

当然最初に考えるのは「プライベート」に使うことです。
趣味のために使ったり、まとめて家事をしたり、
友人、家族との時間に充てたりというものです。

 

時間によっては、お稽古ごとや習いごと、
サークル活動、ボランティア活動などなど
使い道は無限に考えられます。

 

あなたの歯科医院に勤務することで
『プライベートが充実する』ということになるわけです。

 

この時間は「自由に使える時間」ですから
歯科スタッフとしてのスキルアップ」に使うことも出来ます。

 

歯科医師であるあなたにとっては珍しくないことでしょう、
診療終了後に『研鑽・勉強』することは。

 

しかし、今のスタッフとして働く年代にとって
「プライベートの時間にビジネスのことをする」
というのは抵抗が大きいものです。

 

『仕事は仕事』と割り切っていますから
自分の時間を仕事のために使うという発想すら希薄です。

 

スキルアップに関してはあくまでも
「あったらいいな」くらいに認識しておくことです。
実現するのは期待しないでおく方がいいでしょう。

 

ただし、それが現実となって
場所や器具・機材の使用の許可を求めてくるようなら
せっかく節約した光熱費ではありますが、
快く許すくらいのことはしてあげましょう。

 

それと、新たに使える時間はあなたにももたらされます。
研鑽でも経営者の仕事でも自由にお使いください。

診療時間短縮・残業禁止日のメリット4
 〜実質賃金UP〜

 

多くの歯科医院では残業代の発生を
就業時間の30分後とか15分後からに設定しているものです。

 

つまり、定時を超えて勤務をしていても残業代がつかない
「サービス残業」が発生しているということです。

 

わずかな時間、わずかな賃金のことですが
気になっているスタッフは少なくありません。

 

残業がないということは「サービス残業」もないわけです。
名目上は現れませんが実質賃上げになります。

診療時間短縮・残業禁止日のメリット5
 〜ワークライフバランス〜

 

プライベートを充実させることの副次的効果として
仕事への好影響が出てくるとことが期待できます。

 

すなわち、
Off(生活)の充実をOn(仕事)の充実に結び付け、
OffとOnのメリハリをつけて、相乗効果を期待するということです。

 

働き方改革の「お題目」的なものではありますが
現在の風潮として『仕事と生活の調和』の推進は
無視することは出来ません。

 

特に「若い世代」にとっては「経営者=あなた」が
このような姿勢を示していることが
『職場としてのあなたの医院の評価』に繋がります。

 

「診療時間短縮・残業禁止日」を導入する際には
こうしたメリットを面談やミーティングなどで
十分に理解させることが大事です。

 

ぶっちゃけた言い方をすると
『恩は売れるときに高く売れ!』ということです。

 

次回は「診療時間短縮・残業禁止日」のデメリットについても
話していきましょう。

考えてみましょう

さて、それでは恒例のシンキングタイムです。

 

我々歯科医院の院長は、基本的には
治療を行うほど収入が伸びる経営構造になっています。

 

治療に対して積極的になることは、
患者にとっても悪いことではないですし、
あなたも治療そのものが嫌いではないでしょう。

 

こういう背景があるために頑張ってしまい、
『キリがいいところまで』とついつい「治療予定時間」を
オーバーしてしまいやすい傾向があります。

 

これに対して月給制のスタッフは
時間を延長して仕事をしても
残業代を除いて収入が伸びることがありません。

 

残業することも、むしろ
嫌っているスタッフの方が圧倒的に多いものです。

 

仕事とプライベートはきっちり分けるという考えです。
このことは残業代が多少高くても変わりません。
終業時間が読めないことが嫌なのです。

 

このようにあなたとスタッフは考え方の根本が違います。
経営者と労働者の違いといってもいいでしょう。

 

この違いがあるからこそ
お互いの間で約束しておくべきことがあります。

 

どんなことでしょうか。

 

 

せっかくここまで読んだあなたなら
ぜひとも、考えてみてください!
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(ここは考える時間です)
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それでは答えです。

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