辞める理由3

スタッフが歯科医院をやめる9つの理由(下)

Last Updated on 2020.9.22 by 近 義武

経営者(院長)と被雇用者(スタッフ)の関係は
直近30年ほどの間に大きく変わりました。

 

バブル前の歯科医院経営者は被雇用者に対して
現在よりも大きな責任感を持っていましたし、
従業員も守られていると自覚し、感謝していました。

 

こんにちは、株式会社120パーセント代表、
集患、自費率向上、予防歯科の確立をブランディングで実現する、
ブランド歯科医院構築・経営コンサルタント、
歯科医師の 近  義武 です。

 

経営者(院長)と被雇用者(スタッフ)の関係は
現在ではもっとビジネスライクになっています。
雇用主が従業員のプライベートに責任を感じたり
口出しをすることは最早ありません。

 

労働条件に関してもシビアで
義理人情などが入り込まない形が好まれています。

 

そう言う意味でも「スタッフが辞める理由」は
知っておいて損のないテーマと言えるでしょう。

辞める理由7、気苦労と安い賃金

 

歯科のスタッフに求められているものは、
歯科医学的知識から始まって礼儀作法や敬語、
ホスピタリティなどまで広範囲でしかも高度なものとなります。

 

このような背景まで考え合わせると
歯科医院に存在する全ての職種において
給与面での待遇が低いように感じています。

 

歯科スタッフの退職理由として
給与の低さが上位にあがってくるのは
我々経営者側としては反省すべきでしょう。

 

院長であるあなた自身の生活費や固定経費、
借入金の返済や税金・保険料の支払いなど
いろいろとあるのはわかります。

 

それでもビジネス上1番身近なスタッフが
いつも不満を抱えているのはよい状況とは言えません。

 

「賃金が安い」ことに加えて
「昇給のスピードが遅い」ということも問題です。

 

賃金や昇給の水準は『横並び』になりやすいものです。
「歯科医院勤務は独身者がするもの」という
前時代的な古い労働対価感覚で決められたものを
そのまま引きずってきているのでしょう。

 

現在は長く安定して勤められる就労環境を備えていく時代です。
少子高齢化が進み、日本の労働人口が減少している以上
1人1人の従業員に長く勤務してもらうことは時代の趨勢です。

 

このことは今すぐ取り組むべき喫緊の懸案と言えます。
スタッフの我慢の上に成り立つ繁栄など根本的に間違っています。

辞める理由8、姿勢がきつい

 

スタッフを含め、歯科医療従事者は
揃いも揃って腰痛持ちのオンパレードです。

 

近年はマイクロスコープ等の普及も手伝って
ドクターの診療姿勢は改善傾向ですが、
アシストについているスタッフはまだまだです。

 

ある一定の姿勢を毎日のように繰り返していては
どうしても腰に負担がかかります。

 

治療のアシスト業務は腰を屈めることが多く、
基本1人の患者に1人のアシストが付くので、
治療が長時間に渡ればその分、腰への負担が増えます。

 

インプラントや歯周外科のオペなど
治療が長時間に渡ることが必須であれば
アシスト用のチェアの用意をおすすめします。

 

しかし、現実には診療スペースの制約もあります。
アシスト用のチェアを置きたくても置けないこともあるでしょう。

 

また計画治療で治療内容が事前に把握できていたとしても
使用する可能性のあるすべての器具、機材、薬剤を
用意するのは無理というものです。

 

そうなれば、治療で必要になったモノはスタッフが
あなたの指示でその場で用意することになります。

 

つまり、臨床の現場ではアシストが座ったままで
仕事を行い続けるのは難しいということです。

 

スタッフには他にも清掃や治療後の後片付けなど、
腰を酷使する肉体労働が多くあります。
家庭で行うそれとは頻度もレベルも違います。

 

原因とは思いにくいことの繰り返しによって
地味に腰痛を引き起こすのが歯科スタッフの仕事なのです。

 

どんなことでも「予防」に勝る対処法はありません。
仕事ができるスタッフほど腰痛に悩まされやすいことは
院長としては頭に入れておいておきましょう。

辞める理由9、院長との相性が悪い

 

これまで多くの「辞める理由」を挙げてきましたが、
「院長との相性」さえ良ければ乗り越えられるかもしれません。

 

逆に、院長との相性が最悪なら、多少の不満でも
辞職する理由になってしまう…そういうことです。

 

院長の身勝手な方針や言動に振り回されて…というのはよく耳にします。
ただ、「院長とのソリが合わない」程度でも辞める理由になりえます。

 

歯科医院の院長は1人で4役を担っています。
オーナー(金主)であり、経営責任者(CEO・社長)であり、
雇用主(現場責任者・マネージャー)であり、
技術職のトップ(歯科医療のリーダー)でもあります。

 

どこの切り口で見ても一国一城の主です。
サラリーパーソンの上司と部下は違います。

 

ある意味、絶対的存在ですから
院長であるあなたの意見はほぼ100%通ります。

 

社会に出ればどこに行っても
立場や権力、経済力などによって上下関係は生まれます。

 

ただ、近年のスタッフ気質はそういうところに
鈍感というか、意に介さないというか、
はっきりした上下関係の感覚が希薄です。

 

どんなところにもお友達感覚を持ち込んできます。
あなたが本来絶対的な存在であることも「完全スルー」してきます。

 

そうなったときの彼女らの重要視するのが
「相性」という何とも捉えにくいモノになるのです。

 

今のスタッフの基本は『楽しく働きたい』であって、
『稼ぎたい』でも『仕事が命』でもありません。
『職種へのこだわり』もありません。

 

ですから、居酒屋のバイトリーダーと
あなたとの間にも大した差を感じていません。

 

楽しく働けない原因があなたとの相性なら
「雇われているから折れるしかないか…」とはならずに
「話が合わないしつまらないから辞めようか…」となるのです。

 

理解しましょうとは言えませんが、
そういうものなのだということは
覚えておいた方が良いでしょう。

辞める理由 まとめ

 

あなたの歯科医院をスタッフがやめる理由を9つ話してきました。

辞める理由1、スタッフ同士の人間関係
辞める理由2、責任が重い
辞める理由3、残業の常態化
辞める理由4、ボッチになってしまった
辞める理由5、拘束時間が長い
辞める理由6、必要な専門知識量が多い
辞める理由7、気苦労と安い賃金
辞める理由8、姿勢がきつい
辞める理由9、院長との相性が悪い

 

少子高齢化の進行に伴い、労働力の供給は今後も減少します。
労働力の囲い込みが起こるでしょう。
流動する労働力の絶対数が減るのです。
労働力確保のためには労働環境をどうしても整えなくてはなりません。

 

スタッフも資金や時間、設備などと並ぶ資源=リソースと捉えると
長期的な視点の必要性がよりはっきりします。

 

これまでのスタッフと歯科医院の関係は、退職すれば途切れてしまうものでした。
雇用側も被雇用側もそういうものだという認識でしたし、
互いに必要がありませんでしたから発展性もありませんでした。

 

しかし昨今では、個人経営の歯科医院でも
産休や育児休暇を制度化する流れになってきています。
ならば『退職者の再雇用』も視野に入れてもいいのではないでしょうか。

 

何らかの理由で退職したスタッフでも
経過した時間とともに問題が解決していたり
状況が変わったりしていることは多いものです。

 

円満に退職したなら、そして復帰が可能なら
そして、新卒者などへのこだわりが特別にないのなら
検討してみる価値は十分にあります。

 

歯科医院を取り巻く環境は常に流動的です。
ご近所の評判、風評から始まって日本や世界の景気・経済、
人や物の流れなどあらゆることに医院経営は影響を受けます。
当然、スタッフの雇用計画もその変化の中での対応になります。

 

その際に今回話した理由を思い出して対策を講じることが
労働環境の整備に必ずや繋がることでしょう。

考えてみましょう

さて、それでは恒例のシンキングタイムです。

 

「世代による認識の違い」も考慮する必要があります。
いわゆるジェネレーションギャップですね。
時代も文化も常に変化している以上、これは避けられません。

 

さらに歯科医院の院長にはジェネレーションギャップとは別に、
認識しておくべきギャップが存在します。

 

歯科医師として歯科業界にいると認識する機会がなかなかない
そのギャップとはどんなことでしょうか。

 

せっかくここまで読んだあなたなら
ぜひとも、考えてみてください!
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(ここは考える時間です)
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それでは答えです。

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