実患者数を増やす

あなたの歯科医院のレセプト枚数を増やす3つの方法(後)

Last Updated on 2020.8.31 by 近 義武

レセプト枚数を増やす方法について話しています。
前回は実患者数を実際に増やす方法として
2つの方法を話してきました。

・新規患者の獲得
・中断・終了患者の復活

<参照>

 

これら2つの方法については、
いろいろな場面で様々に取り上げられていますから
見聞きしたことがあなたにもあるはずです。

 

こんにちは、株式会社120パーセント代表、
集患、自費率向上、予防歯科の確立をブランディングで実現する、
ブランド歯科医院構築・経営コンサルタント、
歯科医師の 近  義武 です。

 

集患・増患の細かいノウハウは、それこそ数え切れないくらい
生まれては消えてを繰り返しています。

 

しかし、レセプト枚数を増やす方法は
実際の実患者数を増やすものだけではありません。

 

来なくなってしまう患者を減らすことでも
レセプト枚数は実質的に増えていきます。

 

今回はこの「レセプト枚数を減らさない」方法について
話していこうと思います。

レセプト枚数を増やす施策 第3種 
 〜流出患者の減少・抑制〜

 

レセプト枚数=実患者数を増やす方法として
この方法はあまり語られることがありません。
ドタキャン対策として一部見かけるくらいです。

 

しかし実際には『新患獲得』と同等かそれ以上に
インパクトがある方法です。

 

仮に、新規患者として来院した患者の全員が
その後もずっと継続して通院し続けたなら
レセプト枚数は増える一方になります。

 

レセプト枚数が減る要素がなくなるのですから当然です。
新規患者の分だけ毎月どんどん増え続けます。

 

実際にはそういうわけにはいきませんが、
少しでもこの状況に近づけていけたら
歯科医院経営も楽になることは簡単に想像できるはずです。

 

患者が要治療の部位を全て完治させてから後も
ずっと通院を継続する状況を想定するなら、
メインテナンスや予防歯科ということになります。

 

来院間隔は患者によってまちまちでしょうが、
定期的に10年以上通院させることも特別な夢物語ではありません。

 

つまり、メインテナンス等に通院し続けてくれる患者を
毎月少人数でも積み上げていくことができれば、
レセプト枚数=実患者数を確実に増やせるわけです。

 

そして前回も触れましたが、
「新規患者の獲得」にも「中断・終了患者の復活」にも
なんらかのコストがかかります。

 

特に新患獲得にかかるコストは、
中断・終了患者の再来院にかかるコストに比べて
5〜10倍もかかるとされています。

 

これに対して、流出患者の減少にかかるコストは
患者教育のコストだけです。

 

現在通院中の患者に対する施策ですから
メッセージなどを相手に届けるための媒体が必要ありません。
必要になるのはわずかな人手や時間、資料の用意程度です。

 

このような背景もあって、「流出患者の減少」の施策には
あなたが想定する以上のインパクトがあるのです。

 

では具体的に「流出患者を減少」させて
メンテナンスや予防に継続して通院させるには
どうしたらいいのでしょうか。

 

この答えに特効薬的な方法論や
魔法のように画期的なノウハウは存在しません。
繰り返しになりますが、必要となるのは患者教育です。

 

患者教育を通じて、患者には
「痛くなったら来院する」というこれまでの価値観を
「治療より予防・メインテナンスが重要」と変えさせなければ
患者は通院し続けてはくれません。

 

では次に、その患者教育のポイントを
治療の進行状況別に考えてみましょう。

 

患者教育1 主訴の治療中

このステージの患者は問題や悩み、困ったことを
解決したいがために来院しています。
来院のモチベーションが高い時期でもあります。

 

ここでの教育のポイントは次の2点です。

① 今回の問題はメインテナンスを受けていないから
  「表面化・顕在化・重傷化してしまった」
② メインテナンスを受けていれば
  患者にとって経済的にも時間的にも「楽で得」

 

患者教育2 主訴以外を治療中

患者は問題や困ったことを特に感じていない状況で
あなたやスタッフの提案により通院しています。

 

つまりあなたやスタッフ、あなたの歯科医院を信頼して
「プロがそういうなら…」「今後のためにも…」
と考えて通院しているということです。

 

メインテナンスや予防は将来生じるかもしれない悩みや問題を
その時点では何も困っていないにもかかわらず
未然に対処をしていくものです。

 

自覚症状はないものの疾患があって、それを治療している今よりも
さらに患者の価値観を転換しなくては通院してくれません。

 

患者の価値観を変えるという困難そうなことを成し遂げるには
あなたやスタッフへの信頼をより一層高める必要があります。

 

ここでの教育のポイントは3点で、これらを繰り返し伝えます。

① 自覚症状のない疾患はメインテナンス時に発見できる
② 早期治療は簡単で負担金も治療回数も少ない
③ 疾患のない状態をキープすることが
  全身の健康や楽しい食生活、笑顔などを創出する

 

患者教育3 治療終了時

タイムリミットです。
この時期までに患者の価値観を転換しなくてはなりません。

 

「治療より予防が重要」ということを
患者に浸透させるためにはエモーショナルなアプローチ、
すなわち、心を動かさなくてはなりません。

 

そのためには、メインテナンスを受けるメリットと
メインテナンスを受けないデメリットを
両方とも比較しながら伝えることです。

 

そしてできる限り想像がしやすい形で
患者の将来像・見える景色・その状況などを
その場で見ているような描写で示してあげるてください。

 

おすすめの説明パターンを示しておきます。

①「デメリット→メリット」
②「メリット→デメリット→メリット」

 

人は誰しも楽しいことや心地よいことが好きなものです。
これに対して暗い話や嫌な話というのは
無意識に遠ざけようとしたり、忘れようとしたりします。

 

物事の最後に起こったことが記憶に残りやすい
「親近効果」という心理も働きますので
楽しいメリットの説明で締めくくる方がベターです。

 

このように主訴の治療中の教育から
一貫している教育のアプローチを続けることが重要です。

 

治療の最終日にとってつけたような唐突さで
「予防が大事」と言われても、患者としては面を食うばかりです。
とても価値観なんて変わりようがありません。
何事も段取りが9割ということはこんな場面でも的確と言えるでしょう。

レセプト枚数を増やす施策 全3種 
 〜前後編 まとめ〜

 

前後編、2回に分けて『レセプト枚数を増やす方法』を
話してきましたが、いかがだったでしょうか。

レセプト枚数を増やす施策1『新規患者の獲得』

・歯科医院の経営にとって必要不可欠
・ただしコストが高い(再初診の5〜10倍)
・コストの抑え過ぎは禁物
・成果を測定し、費用対効果の高い施策に予算を配分
・1つ2つの施策に依存的にならない
・新患獲得に偏重しすぎない(安定性が低い)

「営業」による新患獲得

1、トップ営業
2、スタッフ営業
3、広告宣伝(媒体やメディアによる営業)

「紹介」による新患獲得

1、患者による紹介
2、他の歯科医院、一般医院からの紹介
3、他業種の店舗などからの紹介

 

レセプト枚数を増やす施策2『中断・終了患者の復活』

・個人情報によりこちらから患者にコンタクト可能
・コストが低い(新患獲得の5〜10倍)
・タイミングが重要

「中断患者」の復活

1、事例発生の直後から対策を行う
2、複数回・複数手段でアプローチ
3、単に来院しづらく感じているだけの患者も多い

「終了患者」の復活

1、特典を用意する
2、あなたの歯科医院を忘れさせない
3、患者が思い立った際の選択肢上位に置かれたい

 

レセプト枚数を増やす施策3『流出患者の減少・抑制』

・実患者数を減らさない施策
・メインテナンス・予防歯科に誘導
・少人数ずつでも積み上げていくことが重要
・アプローチにコストがほとんどかからない
・患者教育で価値観を転換する

主訴治療中の患者教育のポイント

1、重症化の原因はメインテナンスをしていない
2、メンテナンスで『楽で得』が得られる

主訴以外を治療中の患者教育のポイント

1、あなたやスタッフへの信頼をより一層高める
2、検診や早期治療のメリットを詳細に伝える
3、健康、楽しい食生活などのメリットを感情的に伝える

治療終了時の患者教育のポイント

1、タイムリミット
2、メリットとデメリットの比較・対比
3、将来の患者がいる情景を想像させる

 

これらのことに留意しつつ
あなたの歯科医院の状況に合わせて
細部をカスタマイズをして活用してください。

…………………………………………………………………………

考えてみましょう

さて、それでは恒例のシンキングタイムです。

 

アポイントが入っていても
様々なタイミングで患者は来院を中断します。

急性症状がなくなった…
主訴の治療が終了した…
補綴物が装着になった…
荒天候になってしまった…

 

あなたも経験しているでしょうし特別珍しいことでもありません。
すぐにアポイントの再設定があればまだしも、
そのまま音沙汰無くなってしまうこともこれまた珍しくありません。

 

実際のところ、先ほど列挙したタイミングはきっかけにすぎません。
本当の中断・離脱してしまう原因は別のところにあるのです。

 

では患者はどんな理由で中断・離脱してしまうのでしょうか。
最も多い理由を考えてみてください。

 

 

せっかくここまで読んだあなたなら
ぜひとも、考えてみてください!
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(ここは考える時間です)
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それでは答えです。

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