歯科医院の経営改善には院長の役割を分割・分析する
こんにちは、株式会社120パーセント代表、
小さな歯科医院、クリニックの集患コンサルタント、
歯科医師の 近 義武 です。
歯科医院の院長というのは孤独なものです。
しかしそれは仕方がないことでもあります。
世の社長や経営者のほとんどが孤独さを感じながら
日々の仕事を行なっているのですから。
しかし、なぜ孤独になってしまうのでしょうか…?
その答えは実はシンプルです。
一般的なビジネスパーソンとは仕事上の役割が
根本的に違うからです。
さらに言えば、
多くの社長や経営者とも違っています。
規模とか上場とかのことではなく
職種としての形態が違っているのです。
知り合った方の環境が似通っていれば
話も通じて共感できる部分が増えます。
その結果親しくなって
経営上の打ち明け話なども交わすようになれれば
孤独を感じることも緩和されるでしょう。
しかし、その出発点となる環境が
かけ離れてしまっていては
そうそうその先に進むこともすくないものです。
では我々歯科医院の院長は
職種とか業態としてどこが特異的なのでしょうか。
院長は最低でも1人4役
我々にあまり自覚はありませんが、
歯科医院の院長は1人で4役をこなしています。
・オーナー・金主(資本家・投資家)
・経営責任者・CEO(事業責任者・運営責任者)
・現場監督・マネージャー(頭領労働者)
・技術者・歯科医師(雇用者・労働者)
オーナー・金主
『オーナー・金主』は開業資金、運転資金、土地物件などを
提供します。提供したリソースを使って
経営責任者に事業(歯科医院)を運営させるわけです。
経営責任者や執行者の決定権も通常持っています。
業績が悪ければ経営責任者をすげ替えるわけです。
ちなみに、良ければいわゆる配当を受け取ります。
つまり、一般企業で言えば「株主」にあたります。
歯科医院では院長個人から経営者としての院長に
資金を貸し付けているということになります。
事業を展開(歯科医院を開設)するために
リソース(主に資金)を準備提供する人間と
事業に投下する人間が全く同一ということです。
経営責任者・CEO
『経営責任者・CEO』はオーナー・金主から
提供されたリソース(主に資金)を使って
ビジネスを行います。
経営はオーナー・金主の
意向に沿って執行していくことになります。
一般企業では「取締役社長」にあたります。
歯科医師会に入会している方は
思い出してもらうとわかると思います。
会員総会で会長を決めて任命します。
任命された会長が執行部を組織して
会の運営にあたりますよね。
これと同じことを一般企業では
株主総会で行なっているということです。
歯科医院経営では「金主」=「経営責任者」で
いわゆる『オーナー社長型』になっています。
「金主」と「経営責任者」が別々の企業なら
業績不振の場合、経営責任者=社長はクビです。
『オーナー社長型』である歯科医院では
院長は業績不振でもクビにはなりませんが
金主として準備・提供した資金からは配当も出ず、
資金そのものが食いつぶされていきます。
歯科医院が倒産(事業が失敗)となれば
経営責任者(院長)には経営失敗の責任が、
金主には個人として負債が残ることになります。
現場監督・マネージャー
『現場監督・マネージャー』は実際の日常業務を
取り仕切っていくことになります。
経営責任者・CEOが定めた理念や院是、
経営方針、診療ポリシーなどに従って
スタッフを使って現場で業績を上げていきます。
一般企業なら部門ごとに「開発部長」、「経理部長」、
「人事部長」、「営業部長」などがいますが、
歯科医院ではそれらの現場責任者を
全て院長1人で行なっています。
スタッフを統括するのも、
院外に広報・広告をするのも、
請求や決済をするのもトップは院長です。
もちろん、権限と責任を移譲して
チーフ角のスタッフを置いたり、
経理などの業務をアウトソーシングしたりという
テクニカルなことはそれぞれあるでしょう。
それでも現場の最終責任者は院長という図式には
どこも変わりはありません。
一般企業では役付、役員待遇となると
経営陣の一員として、労働者・雇用者の
枠外になるところもありますが
歯科医院経営では「現場監督・マネージャー」は
労働者・労働力提供者です。
労働者・雇用者のトップとして
同じ労働者をまとめる上司ということです。
技術者・歯科医師
最後の『技術者・歯科医師』としてのことは
特に説明はいらないでしょう。
院長であっても勤務医であっても
歯科医師として行う診療に大差はないものです。
新しい機器の導入を上層部に進言するのは
歯科医師としてのあなた、それを検討して決断し
必要によっては資金を調達するのは
「現場監督」や「経営責任者」ということです。
一般企業なら単なる社畜であり、
自主裁量権は自分の関わりある業務の一部だけ、
権限も自由も大きく制限されていますが
その分責任も軽くなっていますし、
退職することも比較的簡単にできる立場です。
勤務医にほとんどの診療をさせて
院長は診療をしないスタイルは
「歯科医師・技術者」の仕事だけを
極端に縮小・もしくは引退した形態と言えます。
院長はこれだけの、少なくとも4つの役割を
1人で背負いこんでいます。
歯科医院の院長に似ている業態を探すとすると、
オーナーシェフが腕をふるうレストラン経営者や
美容室やエステサロンを個人で開業した事業主、
職人系のオーナー社長で現役バリバリの方など
かなり限られています。
これでさらに医療という因習やしがらみが
まだまだ多い分野だからこそ孤独なのです。
交友関係が院長同士に限定されやすいというのも
この背景なら致し方ないというものです。
その交友関係の中でも経営に関することは
全てをさらけ出して相談するところまでには
なかなか到達はできません。
第一、自分も相手も経営のエキスパートではなく、
細かい状況までそっくりというわけではありませんから
相談してもどうにかなる期待は持ちにくい…
しかし、相手が歯科医院の院長なら
「歯科医師・技術者」、「現場監督・マネージャー」としては
それなりの共通点・共感点が見出せるはずです。
4つの役割全てで共感できることに加えて
親交を深めた際の居心地の良さまで求めては
交友関係が広がろうはずもありません。
交友も4つの役割に応じた『4つの立場』で
広げていくというのはどうでしょう。
「歯科医師・技術者」としてなら
相手は歯科医師が多くなるでしょうが、
技術系の職種の方なら習得の苦労などで
共感できることもあるでしょう。
ビジネスパーソンの方とでも
「現場監督・マネージャー」としてなら
スタッフの使い方などで参考になる話も聞けるはずです。
こうして得た見識があなたの歯科医院の経営を
独りよがりではないものにし、
あなたを孤独な経営者から抜け出させてくれるのです。
…………………………………………………………………………
考えてみましょう
さて、それでは恒例のシンキングタイムです。
我々歯科医師のほとんどは高校を卒業後、
そのまま歯科大学に入学します。
その後、学生時代も周囲は歯科関係者ばかり、
社会人になってもやはり歯科関係者ばかりという
偏った環境で過ごしてきています。
その結果、どうしても視野が狭く
『歯科脳』になってしまっています。
それをほぐしてバランスをとるためにも
他業種の方とは積極的に交流していくことをお勧めします。
実際に『歯科脳』がほぐれてくると
経営上でもプラスに働きます。
具体的にはどこに効果が出てくるでしょう。
ぜひとも、考えてみてください!
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(ここは考える時間です)
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それでは答えです。
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