『弱者の特権』「ワンオペ」で歯科医院の院長が得る無形の資産
歯科医院経営を1つのビジネスモデルで考えた場合、
その他のたくさんある業種業態に比べて
飛び抜けて有利なことをあなたはご存知ですか?
こんにちは、株式会社120パーセント代表、
歯科医院、クリニックの集患・経営コンサルタント、
歯科医師の 近 義武 です。
歯科医院経営は基本的に粗利率が高いので、
キャッシュフローにさえ気をつければ
倒産など最悪のことにはそうそうなりません。
その証拠に歯科医院の倒産件数は帝国データバンクによれば、
2015年は9件、2016年の1年間は12件、
2017年は20件、2018年は23件、となっています。
最近10年間の平均では年間15件程度という少なさです。
この数値は一般的な業種・業態に比べて極端に少ないのです。
一般的な業種・業態においては、
設立1年で60%が倒産・廃業 生存率40%
設立5年で85%が倒産・廃業 生存率15%
というデータもあります。
ペーパーカンパニーや趣味に近いような起業も含むので
そのまま鵜呑みにすることはできませんが
少なくとも歯科医院が倒産しにくいことは
おわかりいただけると思います。
その上、保険診療ならレセプト請求分は
(即金ではありませんが)ほぼ確実に支払われますし、
窓口負担金の未払いに対しても補填や補償がされます。
不渡りを摑まされることもまずありません。
このように有利な条件が揃っているのですから
借入金の返済に当てる分を除いた利益が
年間で500~600万円くらいにすることは
それほど難しくはないはずなのです。
【開業当初で運転資金がほとんど用意できない】
【運転資金がなくなっても経営の目処が立たない】
【借入金を返済したら生活費も危うい】
というレベルでしか経営ができていないなら
『歯科医院経営を院長一人(ワンオペ)で行う』
という手段だって取れなくもありません。
まぁ、ワンオペに対しては
「わざわざ必要ない苦労をなぜしなくてはいけないのか?」
「歯科医師がその資格を生かさないでどうするんだ!」
「運転資金をきちんと用意すれば済む話ではないのか?」
という意見もあるのは承知していますが、良いこともあります。
例えば、院長一人で院内・院外の全部の仕事を
1週間限りでも実際に行ってみると
それはそれで気づきが必ずあります。
これは利益が十分に上がっている歯科医院や
多数の患者で待合室が大混雑するような歯科医院では
実行不可能で得ることのできないものです。
『弱者の特権』と言えるかもしれません。
あまりありがたくない特権ですが、
実際にはどんな学びが得られるのか、
主な気づきを紹介しておきましょう。
ワンオペによる気づき1
利益率を高めて維持する道筋がわかる
任せるのではなく、自分でやることで
手元に利益が残ります。人件費がないので当然ですね。
そして、利益以上に得られる大きな気づきとして、
「どの仕事がどれくらい利益を生んでいるのか」、
「どの程度の重要性を担っているか」が理解できます。
そしてそれぞれの仕事に見合う対価もわかります。
『この仕事にはこれくらいの価値があるものだから
時給としては○○円くらいだろう』ということが
感覚的に理解できるのです。
また、事態が好転して
院長が1人で行なっていた仕事のうちの一部を
雇用した従業員に任せる際にはこの気づきを活用できます。
誰にでもできて、それほど利益に直結しておらず、
しかも重要ではない仕事から従業員に任せれば
無駄な人件費の出費を抑えて利益率を高く保てます。
仕事に対する価値をわかっていれば、
外部に仕事を委託する際にも、
騙されたりぼったくられたりすることはないでしょう。
ワンオペによる気づき2
歯科医院経営の全体像を把握できる
はじめから誰かに一部の仕事を任せ切ってしまうと
軌道に乗れれば歯科医院としての成長のスピードは確かに早いです。
しかし、成長していく過程で、
院長が全くわからない、もしくは手も足も出ないような
もはや自分のもとに取り戻せない業務が出てきます。
「担当のスタッフがやってくれるからいい」
という考え方もありますが、その業務が歯科医院運営の
重要なパーツの1つになっていたならどうでしょう。
もし、その人が辞職してしまう、事故や病気で就業不能になる、
女性スタッフなら妊娠・出産で休職する、などなどの理由で
あなたの元からいなくなったら、歯科医院経営が立ち往生します。
突然スタッフが来なくなる、やめる、なんていうことは
歯科医院では日常茶飯事です。もちろん私にも経験があります。
これはある種の【依存】です。
「やめられては困る」となると、きつく叱責にも躊躇が生じます。
業務の全てを院長が1人で行う「ワンオペ」の状況では
それぞれの業務の意味を把握し、その全てを遂行可能に
強制的にさせられてしまいます。
スタッフを雇用する時になっても院長が業務全てを遂行可能なら、
「スタッフの突然の離脱」へのリスクヘッジにもなるのです。
ワンオペによる気づき3
業務を自分の医院向けにカスタマイズできる
雇ったスタッフはどこまでいっても「勤め人」です。
歯科医院経営に対して当事者意識の強い院長とは人種が違います。
その「勤め人」に仕事を任せても、
基本的には言われたことしか行いません。
作業の無駄を省こうとか、工夫して効率を上げようとか
実行どころか考えることすらほとんどありません。
必要かどうか、重要かどうかなど意にも介さず
とりあえずこなす・処理するだけです。
中にはただ勤務時間にその場に存在さえすればいいと
思っているような「勤め人」だって存在します。
よほど優良な人材であれば、それぞれの業務を
あなたの歯科医院に特化した形態にカスタマイズしてくれますが
通常、それを期待するのは間違っているでしょう。
このカスタマイズを院長なら行うことができます。
というか、全ての業務を院長1人で行う状況で
仕事に追われているわけですから
いやでも効率化の工夫をすることになります。
こうしたカスタマイズは、うまくできれば楽になれるので
誰に言われなくてもワンオペ院長は行っていこうとします。
人に任せた仕事を経営の規模が大きくなってから
カスタマイズしようとすると大変です。
これまでのやり方を変えることに対する抵抗で
下手をするとスタッフが辞めたり、ボイコットしたりします。
歯科医院の経営規模が小さいうちに全ての業務を
院長が行いつつカスタマイズして無駄を省いておくと
機が熟して、仕事を人に任せることが実現した際には
スムーズな規模の拡大を成し遂げられます。
…………………………………………………………………………
考えてみましょう
さて、それでは恒例のシンキングタイムです。
ワンオペで毎日12時間以上働くことを続けても
「借入金返済以外に500〜600万円の利益」が
達成できないなら、『勇気ある撤退』というのも
選択肢として考えなくてはなりません。
しかし、歯科医院経営は
開業時に多額の資金投下を行なっていますから
おいそれと畳んでしまうわけにはいきません。
キャッシュフローが苦しくなっても
なんとか資金繰りを頑張ろうとするのは当然です。
その資金繰りもなんでも良いというわけにはいきません。
むしろ行わない方が良い資金繰りもあるのです。
今の時代に手形を切る院長は少ないとは思いますが、
手形割引による資金調達も歯科医院経営では
行わない方が良い手法の1つです。
他にも行わない方が良い資金繰りがあります。
とても簡便で手を出したくなりますが、
手を出すとまずい資金繰りとはどんなものでしょうか。
せっかくここまで読んだあなたなら
ぜひとも、考えてみてください!
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(ここは考える時間です)
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それでは答えです。
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