新システムや新治療の導入を検討する際の経営者視点5+1選
こんにちは、株式会社120パーセント代表、
小さな歯科医院、クリニックの集患コンサルタント、
歯科医師の 近 義武 です。
『コレ、ウチの医院でも始めよう!』
セミナーで聞いてきたり、他の先生に勧められたりして
システム、機材、医療機器、治療などを
導入しようと思うことがありますよね。
そんな時は結構ワクワクしていて
うまくいくイメージしか頭に思い浮かびません。
慎重になろうとしても
心の目に偏光グラスがかかっているようなものです。
心の方をどうにかしようというのは
はっきり言って難しい。
なにしろ気に入っているモノの導入検討をしています。
「お気に入り」の感情を無くせはしないからです。
ちょっと話は変わりますが、
歯科医院の院長は1人で4役をこなしています。
・開業の資金提供をした金主・オーナー
・歯科医院の運営を司る経営責任者・CEO
・院内のオペレーションを統括するマネージャー・監督
・歯科医療を提供する歯科医師・技術者・労働者
何かを導入しようとする際にはたいていの場合、
「歯科医師・技術者」か「マネージャー・監督」の立場で
「お気に入り」「導入しよう」という気持ちになっています。
ここで必要となってくるのは
「経営責任者・CEO」としての判断です。
ちなみに金主は一般企業で言えば株主ですから
結果が良くて反社会的なことがなければ
経営を任せたCEOに否定的な意見を持ちません。
ですから、経営責任者の立場から
技術者や監督の気持ちを理解しつつ
歯科医院経営上の判断をしなくてはならないのです。
そこで今回は経営責任者として
できるだけ冷静で客観的な判断を下すための
チェックポイントを紹介していきます。
導入を検討する際の経営の視点
1 導入コスト
導入する際には金銭的なコストがほぼ間違いなく発生します。
機器なら購入資金、常設するなら設備資金、改装資金、
権利金、参考書籍の代金、レクチャーの受講料金、
セミナー参加費用、消耗品費、ランニングコスト…
直接お金が出ていきますからこれらへの考慮を
しないということはあまりないでしょう。
これ以外に、習熟にかかる時間的コスト、
(時間=人件費です。あなたの時間も例外なく)
資金調達コスト(手数料・利子)なども
漏れなくリストアップして考慮します。
2 広告戦略とその費用
せっかく導入するなら患者にアピールしなくては
導入する意味が半減します。
特に新治療を導入する際には医院の内外に
情報発信をしなくては患者が治療を受けてくれません。
パンフレット・チラシ・フライヤーなどの作成、
院内掲示、院内放送用動画の作成、
ホームページへの掲載、看板・外壁等への表示、
解説・説明用のアイテムやグッズの用意、
ブログ・メルマガ・アプリ等による情報配信、
地方新聞・雑誌・地域誌などへの広告出稿や寄稿、
インターネット広告、紹介システムの利用…
ほとんどに何らかの費用が発生するものです。
当然、費用対効果を想定しなくはなりません。
また、いわゆる費用以外に手間や時間が取られます。
それらを含めて考慮しましょう。
3 報酬、利益、支出の減少
導入を検討しているのが新治療であれば
患者からもらう報酬もさることながら、
治療が完了するまでに発生する諸経費を計算しましょう。
材料費や技工料など
その治療を行う際に直接的に発生する経費以外にも
ユニットを占有している時間に比例して
人件費や家賃、光熱費などが使われていることになります。
診療1回あたりの時間や診療回数が多く必要な治療は
報酬が大きい割に純利益が小さくなりやすいものです。
治療以外のシステムなどの導入の場合、
節約できる費用や時間、手間などを
金銭に換算して見ましょう。
例えが古いですが、レセコンを導入する場合なら、
カルテチェックをしていたスタッフの人件費や
レセプト作成代行に支払っていた費用がなくなります。
支出の減少も利益として考慮します。
4 投下資金の回収
新治療導入の場合でみてみましょう。
細かい説明はここでは省略します。
導入に際して投下する資金(含時間給)をA、
新治療をしたら発生する経費(材料費・技工料等)をB、
新治療を一通り行なって発生する報酬金額をCとします。
すると、おおよそ次の関係式が成り立ちます。
A÷{1ー(B÷C)}=投下資金回収に必要な報酬総額
投下資金回収に必要な報酬総額÷C=必要な症例数
投下資金回収に必要な報酬総額は
導入を検討している治療のみで得る報酬の総額です。
単純にA÷Cとならないことに注意してください。
業者がよくそんな説明をします。
実際計算するとわかりますが、「A÷C」の方が
少ない症例数で回収できることになります。
投下資金回収に必要な報酬総額もAより大きくなります。
ある意味詐欺です。
そのほかにも、患者への説明のわかりやすさ、
アピールのしやすさ、患者のニーズの大きさ、
患者の問題や悩みの深さ、関心の引きやすさなどが
投下資金回収までの期間の長短に関与してきます。
5 競合歯科医院の参入障壁
参入障壁が高いほど市場を独占できます。
もしも、患者が求める治療等を提供するのが
あなたの歯科医院だけであれば
その治療を受けたい患者はあなたの歯科医院が
独占的に治療をすることになります。
それを知って他の競合歯科医院が
同様の治療を導入しようとした際に
例えば導入コストが超高額であれば
そう簡単に導入を実現する歯科医院が増えません。
参入障壁とは導入の難しさともいえます。
導入コスト以外でも
システムの構築に多大な時間が必要とか、
成果がでるまでの心身の負担が大きいとか、
継続的で地味な作業が必要とか、
そういうものも参入障壁となりえます。
当然ですが、参入障壁が大きいほど
ヒットした場合のリターンは大きくなります。
+1 リスク
こんなことを言っていたら
何も導入できないという方もいるので
補足として考えてもらうといいでしょう。
最悪の事態や最大のダメージが生じた際に
果たしてどうなるのかを考えるということです。
そして最悪の事態を発生させないための対策や
そのための労力やコストも考慮することをお勧めします。
例えば、診療時の患者からのHIVの感染の可能性は
あくまでもそこそこでしかありませんが、
一旦感染してしまうとそのダメージが生死に関わるため
対策に万全を期すことになります。
また、インプラント治療(特にオペ)には
施術が原因による死亡例も存在します。
発生の可能性を下げるために、知識と技術を
常にアップデートするというのも対策の1つですが
インプラントのオペを全て外注してしまったり、
インプラント治療そのものを受けないという選択肢もあります。
これらは医療上のリスクですが、
経営上のリスクも存在します。
アメブロから患者が相当数来院していたのに
突如アカウントを停止され、ページを削除されてしまう…
E-Park歯科を利用している保険医療機関に対して
療養担当規則への抵触による利用不可の厳格化・罰則化…
これらはいつ起きてもおかしくはありません。
集患を何か1つの経路に頼っていた場合
そこが機能不全になると経営そのものが危機的状況になります。
類似の事態は数年前にGoogleの検索アルゴリズム変更で
現実に起こっています。
SEOに多額の資金を投下して上位表示させていた歯科医院が
ペナルティを食らって十数ページ下位にしか
表示されなくなり、倒産寸前まで一気に追い込まれました。
リスクを踏まえての導入、
依存など二次的なリスク発生に留意しましょう。
…………………………………………………………………………
考えてみましょう
さて、それでは恒例のシンキングタイムです。
何かを導入しようとするなら
経営責任者の立場からこんな視点で冷静に
判断をしてくださいというお話でした。
注意点やチェックポイントといえるものでしたが、
これとは別に「こういう要素があるとプラス」
というものもあります。
どんな要素があると導入にプラスになるのでしょうか。
せっかくここまで読んだあなたなら
ぜひとも、考えてみてください!
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(ここは考える時間です)
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それでは答えです。
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