現在の経営環境とあなたの診療方針にマッチした「ビジネスモデル」構築
採算や経営について考えるコト自体に
嫌悪感を抱いている院長がいます。
「医療に算術はふさわしくない」そうですが
そう言うなら開業せずに、
一生勤務医のままでいればいいのに…と思います。
こんにちは、株式会社120パーセント代表、
小さな歯科医院、クリニックの集患コンサルタント、
歯科医師の 近 義武 です。
日本人は国民性として『お金は汚いモノ』という認識を
多かれ少なかれ深層心理に持っています。
この認識が大きい方は
稼ぐこと・儲けること・お金に関することなどを
人前でするだけで「下品・恥ずかしい」と感じるようです。
確かに、歯科医院経営を
「お金を稼ぐ」目的に行うことには賛成しませんが、
何も考えないのは無責任です。
何かを達成しようとすれば資金が必要になります。
そのためであれば「お金を稼ぐ」ことは
目的を達成するため手段にすぎないといえます。
つまり、目的の中身が問題であって
目的にふさわしければ、
手段そのものには良い悪いはないということです。
目的がひどく独善的だったり、反社会的だったりすれば
手段がどんなに綺麗だろうとダメですし、
目的が崇高ならば多少強引な手段でも
最終的には感謝されなくもないということです。
歯科医院の院長は一国一城の主です。
歯科医師としての顔だけでなく、
オーナー、CEO、現場マネージャーの顔も持っています。
目的と手段をどう設定するかはあなた次第です。
その手段を『ビジネスモデル』という形で
「新患獲得」の側面から前回お話ししました。
今回はその続編です。
ビジネスモデルの変遷
少しおさらいしましょう。
1、バブル期まで
だまっていても、経営に無関心でも患者が押し寄せました。
押し寄せる患者を捌きつつ、効率的に売上を上げるには
主訴の治療+必要性の明らかな修復・補綴を
短期間・小回数で行なって一度終了してしまうのが
正しいビジネスモデルでした。
今考えれば空前絶後の
歯科医院経営のパラダイス期だったかもしれません。
2、バブル崩壊
さすがに患者は押し寄せてはきません。
それまで必要なかった「集患」の概念が
歯科医院経営上で認識され、実行されました。
それまでのビジネスモデルから離れたくないという
いうなれば「慣性」が働いて
「集患」は新規患者を対象に行われました。
新規患者の偏重はここから始まっているともいえます。
ただし、新患獲得にはコストがかかります。
獲得コストが高くなるほど医院経営を圧迫するモデルです。
3、平成不況期
不景気に加えて歯科医院過剰がのしかかりました。
競合歯科医院が増えて新患獲得コストが上昇します。
少ない患者から一定以上の医療報酬を得るために
患者1人あたりの平均単価アップが図られます。
ここでは自費診療への転換・誘導に力を入れつつ
患者に受け入れやすそうな新治療・新技術を模索し、
習得し、導入していくことになります。
4、現在
前述のモデルに様々な不都合が表面化し、
切羽詰まった状況で限界が近づいています。
・同じ自費診療を行う競合医院が増えると患者が減る
・常に目新しい「何か」の導入に迫られる
・導入した治療を望む新患をさらに集める必要がある
・研鑽、機器や設備の拡充に資金も時間もかかる
・研鑽のための研鑽に陥りやすい
・自費診療に誘導するツール、システムなども必要
・高医業収入だが高コストで、薄利多売を強いられる
・利益を蓄積しにくく自転車操業的になりやすい
・最終的には資金力勝負にならざるを得ない
このような不利な材料に直面してしまうと経営的には
頑張っているのにじわじわと苦しくなっていきます。
資金力が脆弱な歯科医院でできることは限られてきます。
よく行われるのは「利便性」の向上です。
休日返上や長時間診療で少しでも診療機会を増やします。
これにはスタッフの確保という問題がついて回ります。
日本の人件費は安くはありませんから
スタッフを確保できても高コストになり易くもあります。
他には、「自費診療の値下げ」がよく行われます。
こちらは『利幅』を自ら小さくすることになります。
それに続く「利幅の大きい診療」を
受注しやすいような道筋やシナリオが整備されていないと
これまで以上に集患しなくてはならず、
それでいて忙しくなるばかりで利益が確保しにくいという
悪循環になりかねません。
そこで注目されているのが
『C型』と呼ばれるビジネスモデルです。
『C型』ビジネスモデル
このビジネスモデルは「新患獲得」の影響を
できるだけ小さくしようとするモデルです。
新患獲得は行わなくてはなりませんが
それに経営は頼らないようにしていきます。
これまでのビジネスモデルは次の式で説明されます。
売上 = 患者の平均単価×患者数(新患数)
どんなに患者の単価を上げても
新患数が不足すれば売上は上がりません。
診療を終了させる以上、新患が絶対的慢性的に不足します。
『C型』ビジネスモデルには「終了」の概念がありません。
関係式も以下のように変わります。
売上 =患者数×診療1回の平均単価×来院回数
「患者の平均単価」を
「診療1回の平均単価×来院回数」に分解した形です。
こう認識することによって、来院回数を多くできれば
患者数が低くても、診療1回の平均単価が低くても
売上が上がる可能性があることになったわけです。
「旧式」では患者数=新患数と考えていたものを
「新式」では新患も、再診も、再初診も
全てを含んでいるものに認識を変更します。
これにより、新患獲得の絶対性は最早なくなります。
新患獲得コストが大きいのであれば、
獲得コストがより小さい再診・再初診患者の獲得に
力点をシフトしましょうということです。
ありきたりなところでは、リコールに力を入れる、
キャンセル対策を手厚くするなどです。
再診・再初診患者の獲得コストは
新患獲得コストの1/5〜1/10といわれていますから
これだけでも低コストになるわけです。
「診療1回の平均単価」については、「旧式」では
新患にアピールする自費診療の充実という形でした。
「新式」ではこれに、再診・再初診の患者に対する
自費診療の充実が加わります。
繰り返し行うことのできる自費診療や物品販売など
今までになかった視点が求められます。
「来院回数」は「新式」で出てきた考え方です。
多回数の通院をさせるためには、歯科医学的な意義や価値を
十分患者に理解させる必要があります。
理屈やエビデンスに加えて、患者にいかにメリットがあるか、
どのような好ましい変化が得られるのかを
患者に想像させるような説明をしなくてはなりません。
患者は痛みがなくなれば
治ったと思って来院しなくなりますよね。
それは自分の近未来を想像できないからです。
想像ができないのは患者のせいではなく
歯科医学的知識の欠如がその原因です。
我々はエキスパートですから
理屈やエビデンスから結果を想像できますが
患者には無理な話です。
理屈やエビデンスと結果の想像とのギャップは
あなたの説明で埋めなくてはならないということです。
このビジネスモデルは新患に頼れなくなったからこその
ビジネスモデルともいえます。
『C型』のCはContinuing(継続している)の意味です。
1人の患者と長く付き合うことになりますので
治療の技術以外のところが今まで以上に重要になります。
今回の話は根源的なビジネスモデルの話なので
ほぼ全ての方に当てはまる代わりに
具体性の部分が弱く、少なくなっています。
原理原則からあなたの診療スタイルや
歯科医院の診療体制などに応じて
カスタマイズが必要になります。
カスタマイズに関する質問やサポートについては
セミナーに参加していただくか、各種コンサルでの解決を
検討してください。
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考えてみましょう
さて、それでは恒例のシンキングタイムです。
カスタマイズについては
あなた自身でできる方は迷わずどんどん行ってください。
やってみると結構すんなりできてしまうことも多いものです。
現在ならそのカスタマイズを頑張ると、
将来行うよりも有利な点がいくつかあります。
その中でも特に最大のものは何でしょうか?
せっかくここまで読んだあなたなら
ぜひとも、考えてみてください!
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(ここは考える時間です)
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それでは答えです。
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