患者はあなたの腕を見込んで来院しているわけじゃない
どんなものにも寿命がありますが、
その寿命が訪れるのはいつも突然です。
しかも、最悪のタイミングで、
他のものを道連れにして壊れるのはどうにも納得がいきません。
こんにちは、株式会社120パーセント代表、
歯科医院、クリニックの集患・経営コンサルタント、
歯科医師の 近 義武 です。
突然、事務所の無線ルーターが壊れました…
電源もはいらない状態ですし、5年近くは使ったので
壊れてしまっても仕方がないし、まぁ寿命ということでしょう。
とはいえ、私がメインで仕事に使っているパソコンは
無線でしかネットに接続できないタイプです。
放置しておくわけにも行かないので、
すぐさま新しい無線ルーターを秋葉原まで買いに走りました。
そして新旧の無線ルーターを入れ替えるように
電源コードやらケーブルを繋ぎ、いざスイッチオン!
…したのですがちっともネットに繋がりません、
仕方がないのでルーターのサポートセンターに電話してみました。
小1時間程電話で話しながら、ああでもないこうでもないと
いろいろ試してみてもどうしても繋がりません。
結論を言うと、無線ルーターだけでなく、
電話の光回線のルーターも壊れていました。道連れです…
しかし、サポートセンターとのやりとりの段階ではそれは不明でした。
ただし、他が壊れている可能性示唆されたので、今度はNTTに連絡です。
電話回線は生きていたので、ネット接続の不調を訴えました。
NTTは思いの外、素早く対応してくれて、
翌日には担当者が事務所まで来てくれることになりました。
翌日に調べてもらった結果、ようやく光回線のルーターが
道連れになって故障したことが確認できたので
その場で光回線のルーターも交換してもらいました。
来て作業をしてくれたNTTの方にはとても感謝しています。
あっという間に交換と設定をしてくれました。
終わってみれば2日間のドタバタだけで済みましたので
それほど悪くはない結果だったと言えるでしょう。
私のパソコンからも問題なくネットにアクセス可能になりました。
しかし、NTTの方のやっていたことはさっぱりわかりませんでした…
作業の合間にいろいろと話してくれたのですが、
それも半分程しかわかりませんでした。
しかし、わからないことだらけでも、
結果が良いので、私としては文句もなくむしろ満足でした。
でも、こういうことってよくありませんか。
素人がみると何をやっているのかわからないこと…
スゴいことなのか、簡単なことなのかもわからないこと…
そして結果も「支障があるか、ないか」しか理解できないこと…
理解できていないのに来院する理由とは…
当然のことながら、我々歯科医師の仕事もその部類です。
歯科医師同士なら当たり前にわかるようなことでも
患者からすれば半分もわかってはいないでしょう。
それでも患者は治療を受けます。
しかも他の歯科医院ではなくあなたの歯科医院で治療を受けます。
それはなぜなのでしょうか?
2つの理由が考えられます。
1つは『歯科医師を口腔内の問題解決の専門家と認識している』から。
でもこれは、「歯科医院で治療を受ける理由」であって
「あなたの歯科医院で治療を受ける理由」にはなりません。
もう1つは(これが肝心なのですが)
『明確な理由はないけれど何となく良くしてくれそう』だから。
患者とすれば歯科診療は、どんなに説明をつくされても
「治療を受けてみなければ」わからないものです。
場合によっては治療を受けてもよくわかりません。
それでも、治療後に患者自身にもたらされた結果と
最初に『良くしてくれそう』と感じていた時の自分の想定とを比べて、
治療結果の方が上であるなら満足するというものです。
つまるところ、どの歯科医院で治療を受けるかを決めるのも
治療方法や使用歯科材料、治療用機器、料金を決めるのも
結果を得る前に決めなければなりません。
結果の善し悪しよりも『良くしてくれそう…』かどうかが
患者をあなたの前に座らせている、ということなのです。
これはある意味、飲食店などと似ています。
「美味しいそう」「接客が良さそう」「内装が素敵そう」だから、
実際の味の評価は曖昧でもその店に行って注文してみる構図です。
ただし、飲食ですから、歯科治療よりも結果について
「期待以上だった」「期待以下だった」がよくわかります。
顧客それぞれが「美味しさ」「接客サービス」「内装」などに
接し慣れていて、それぞれ独自の判断基準を持っているからです。
それでも飲食店のリピーターは「美味しかった」から
次回も来店するわけではありません。
あくまでも「次も美味しそう」だから行くわけで
先に「美味しい」という結果を得たから行くのではないのです。
この「予想」「想定」「期待」の『〇〇そう』が
人を動かしていると言っても過言ではないのです。
そしてこのことが顕著であるのが我々のいる歯科業界です。
患者に「良い結果を渡す」ことは重要です。
それによって「次回も良くしてくれそう…」をという気分を
患者の中に醸成する原動力にもなります。
しかし、患者というものは
「何をしているのかわからない」「結果を的確に評価できない」
ということは先に話した通りです。
患者にもたらされた「良い結果」を
『最低ランクの当たり前以下の結果』と評価してしまっても
仕方がないことだってありうるのです。
「治療を受けてもらえばわかる」とばかりに
結果を良くすること=技術だけを高めても
それだけでは患者の中の「次回も良くしてくれそう…」
という気持ちの醸成はできません。
言葉を尽くしても歯科医師というエキスパートのすることは
完全に理解されることはありませんが
それでも、理解してもらう努力は様々に重ねるべきでしょう。
患者に理解はしてもらえないことをわかった上で
なんとか「良くしてくれそう…」というあやふやで
エビデンスも何もないようなものを醸成することに
尽力しなくてはならない…
エビデンスを重視し、エビデンスを拠り所にしてきた我々には
ひどく居心地の悪い話なのですが、これが真実です。
まして、新規患者=あなたの歯科医院に来院したことのない方は
「あなたの歯科医院に接する実体験」を1つも持っていません。
「実体験」がないままに「良くしてくれそう…」を醸成しなくては
新規患者として来院してもくれないのです。
「良くしてくれそう…」は、現在通院している患者、既存の患者に対しても
まだ来院したことがない患者、来院見込みがあるだけの方に対しても
その心の中に醸成してもらおうとする努力が必要なのです。
それも、患者が実際に治療を受けたのちに、
あなたが患者にもたらすことのできる「結果」とは『別に』です。
『エキスパートのすることを素人は完全には理解できない』
『なんとなく「良くしてくれそう…」で来院・通院を決めている』
というなんともフワッとしている要因で、我々の歯科医院経営が
決まってくるということは良く覚えておいて損はないです。
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考えてみましょう
さて、それでは恒例のシンキングタイムです。
「良くしてくれそう…」を感じてもらうにはどうすれば良いでしょう?
これはもう『情報を発信する』以外にありません。
「それなら今もいろいろ発信してるよ。」
そう答える院長もたくさんもおいでのことと思います。
ただ、「良くしてくれそう…」を感じてもらう目的で
情報を発信しているでしょうか?
いくら発信したところで、
患者が「良くしてくれそう…」を感じてくれなければ、
患者にとっては、発信していない歯科医院との差はないも同然です。
「良くしてくれそう…」を醸成できる情報発信をしていない歯科医院は
ある好ましくないステージに足を踏み入れることになります。
本当は足を踏み入れたくないステージとはどんなものでしょう?
せっかくここまで読んだあなたなら
ぜひとも、考えてみてください!
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(ここは考える時間です)
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