歯科医院経営の特殊性と難しさの正体(下)

歯科経営の変則性や特徴のポイントについて話をしています。
ビジネスモデルとしてかなり変則的だということを
理解しておかないと思考が堂々巡りになりやすくなります。

 

歯科医院の院長はある意味孤独です。
経営に関しては、成功している院長ですらそのほとんどが
なんでうまく行っているのか他人に説明できません。

 

施策がたまたま変則性や特徴と整合性があった…
それだけの場合がほとんどです。

 

成功の確率を増大させるためにも、
歯科経営の変則性や特徴のポのポイントは
しっかりと認識しておいて下さい。

 

こんにちは、株式会社120パーセント代表、
歯科医院の集患・経営、ブランド構築コンサルタント、
歯科医師の 近  義武 です。

今回は変則性の5番目とこれまでのまとめになります。

 

変則性5、「サービス業」であって「サービス業」でない

 

現在、歯科医院が過剰であるということは常識になりつつあります。
全国で約6万9千医院、コンビニの5万軒を上回っています。

 

しかし、ほんの30〜40年程前まで歯科医院は不足していました。
年配のドクターはよくご存知のことです。

 

当時は歯科医院の希少性、ドクターの権威性、
市場の寡占性、経済的優位性などによって
歯科医院の院長はいわば『殿様商売』をしていました。

 

『殿様商売』の方がむしろ信頼の獲得に繋がって
さらに患者を誘引する状況だったのです。
この頃は歯科医師が患者を完全にコントロールしていました。

 

その後、歯科医院数が適正数を越えてくると
他医院との差別化が叫ばれるようになります。

 

ここでどこの誰がどこから持ち込んだか知りませんが
歯科医師にとっては結果として適さない考え方が蔓延します。

 

『歯科医療はサービス業…』『患者はお客様…』
『接遇で差別化をしなさい!』『これまでのやり方じゃダメ!』
感化されて今でも患者を様付けで呼んでいる歯科医院も
あなたの周りにいくつかあることでしょう。

 

実際、歯科医業は税務上ではサービス業に分類されていますが
医療は本質的には『一般的なサービス業』ではありません。

 

一般の「お客様」を相手にしたサービス業のように
顧客の満足度を上げさえすれば良い、というビジネスではないからです。

 

我々歯科医師にとって当たり前のことでも
患者にとっては常識はずれなことは歯科医学的にたくさんあります。

 

膨大な歯科医学的知識とエビデンスに基づいた意見と
患者の感覚的に正しいと感じる意見が
必ずしも一致しないことはそれ程珍しいことでもありません。

 

例えば、我々としては処方した薬は
指示した用法・用量で服用することが当たり前です。

 

しかし患者は違います。自覚症状が消退して時点で、
『薬は最低限しか飲まないことが正しい』と思い込んでいて
指示を守らず勝手に服用をやめたり平気でします。

 

本来であれば、患者には我々の指示に
きちんと従ってもらわねばなりません。

 

患者の感覚的な正しさや納得の度合いに係わらず
我々の言うことを聞いてもらわなければならないのです。

 

このコトを『歯科医療はサービス業…』『患者はお客様…』な意識で
スムーズに実施できるとあなたは思いますか?

 

さんざん持ち上げておいて、「歯科医学だけは別!」と言うのは
患者に従えと言う方が無理です。

 

これはある意味では「診療の主導権争い」なのです。
変な親切心を出すことで、あなたの持っている主導権を
手放したりしないでください。

 

診療の主導権を完全に患者に握られてしまうと
あなたは患者にとって都合のいい歯科医師となるだけです。

 

ちょっと方向性を間違えて『患者はお客様…』を導入してみたら
ロクでもない結果が待っていたということがよくあります。
患者にとって良くない結果を招く恐れもあります。

 

昔の「殿様商売」をしろとは言いませんが、
せめて権威性だけはしっかり確保したままで
患者サービスに努めるようにしなければなりません。

 

あなた自身の権威性・ステイタスは
患者管理、スタッフ管理、さらにはそのオペレーションと
集患や患者満足度などとは異なる種類の項目で
歯科医院経営に大きく関与しています。

 

いわゆる過度なサービスは、行う程あなたの権威性を下げます。
フレンドリー過ぎてもやはり下がります。
譲りすぎ、受け入れすぎでも下がります。

 

このように非常にシビアな患者管理が
現状の我々に求められているモノなのです。

 

『歯科医療はサービス業…』『患者はお客様…』な風潮は
歯科医師ではなく、関連業者が持ち込んだものでしょうが、
闇雲に他業種の成功例を持ち込んでもどこかに歪みが出る典型例です。

 

良い面がちょっぴりはありますが、失うものの方が大きい考え方です。
ステイタスロスを凌駕するメリットを確実に得られていないなら
とっとと辞めてしまいましょう。

 

歯科医院経営の特殊性と変則性まとめ

 

今回の話を含めて3記事、5細目に渡って話をしてきました。

 

 

  • 変則性1、二重三重の責任があなた1人にかかる
  • 変則性2、業務をチェックする人間がいない
  • 変則性3、相反するコトが混在している
  • 変則性4、初期費用が超高額な資格店舗ビジネス
  • 変則性5、「サービス業」であって「サービス業」でない

 

どの変則性・特殊性もその正体を理解して
「考え方」「マインドセット」を整えておけば良いものです。

 

あやふやなまま、もしくは
あなた自身の理想とする歯科医療の実現を妨げるままに
「考え方」「マインドセット」を放置しておいては
経営努力の効果は半減します。

 

この機会に少し考えてみてください。

…………………………………………………………………………

考えてみましょう

さて、それでは恒例のシンキングタイムです。

 

もともと歯科医療の分野は専門性が高く、
歯科医院の院長が権威性を高く保つことは
かつてはそれ程難しくはありませんでした。

 

しかしこれほど歯科医院・歯科医師が増えてしまうと
「希少価値」はほぼ雲散霧消しています。

 

「寡占」状態も破られ、「経済的優位」も
もはやなくなってしまいました。

 

とはいえ、最後に残された「権威性」を維持・向上するために
あなたの歯科医院でもすぐに導入できる
手軽で簡単な「ある方法」があります。

 

さてどんな方法でしょうか?

 

 

 

せっかくここまで読んだあなたなら
ぜひとも、考えてみてください!
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     ↓
(ここは考える時間です)
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それでは答えです。

 

 

 

 

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